【番外編】アリゾナの荒野でエクストリームシェイヴィングを楽しむ
前回、Holbrook という町を離れ、化石の森国立公園(Petrified Forest National Park)へきた。
エクストリームアイロニングをご存知だろうか。
エクストリームなことをしながらアイロンがけをするという過激なスポーツだ。
例えば、スキーをしながら、サーフィンをしながら、サイクリングをしながら、などが挙げられる。
5〜6年前くらいからあるムーヴメントで、最近ようやく日本でも知名度が上がってきた。
世界中にエクストリームアイロニングの愛好家がいて、日本にも5人程度の愛好家がいる。
まだまだマイナーなスポーツだ。
エクストリームアイロニングのミソは、エクストリームなアクティビティをしながら、或いはエクストリームな場所で、いかに心を穏やかにしてアイロンがけをできるか、という点にある。
アイロンがけ、つまり、衣服のシワを伸ばすことは、心のシワを伸ばすことでもあるのだ。
このことは、日本のエクストリームアイロニストクラブの代表である杉本真樹氏も TEDx イベントで講演している。
共感を衝動へ -- Extreme Ironingのススメ | MAKI ...
かくいうぼくも、杉本先生に同行し、エクストリームアイロニングを経験させてもらったことがある。
いちばん後ろで飛んでいるのが杉本先生で Mac 30 周年記念の Apple 公式ページに載った3人の日本人のうちの一人なのだが、恥ずかしながらこのときぼくは知らなかった。
さて、話をアリゾナに戻そう。
ぼくらは、カラフルな大木の化石が無数に横たわる化石の森国立公園へ来た。
そして、ブルーメサと呼ばれる、広大な荒野を見渡せるビューポイントまで車を走らせてきた。
地球でない惑星を思わせるような広大な風景が目の前に広がっていた。
こんなにも広大な風景が目の前に広がると、心が開放的になる。
こんなにもエクストリームな風景を目の前にすると、エクストリームなことがしたくなる。
残念ながら、ぼくらはアイロンとアイロン台(エクストリームアイロニングとは言えどもこれも重要なアイテムだ)を持ち合わせていなかった。
何か足りないものがあるときは、工夫することが重要だ(父がよく言っていた)。
考えながら顎を触っていて思いついた。
新しいエクストリームスポーツを提案してしまえばいい。
エクストリーム・シェイヴィングだ。
車のトランクのバックパックからシェイヴァーを持ってきて、これまでの人生でいちばん爽快な朝の髭剃りを楽しんだ(どうでもいいことに時間をたっぷり割けられるのが個人旅行の最大の醍醐味である)。
まだ朝9:00くらいなので、髭剃りにちょうどいい時間帯でもある。
二人のポーズを見比べてほしいのだが、ぼくが素人っぽいプロポーションなのに対して、荒木が熟練者の域に達したプロポーションをしているのがわかるだろうか。
(荒木が悠然としているのに対して、ぼくは足がすくんでしまい崖から離れたところに立っている)
まるで映画のワンシーンのようでもある。
ぼくらは心の赴くままに髭剃りを楽しむことができた。
今度エクストリームなところに行くときは、アイロンとアイロン台、そしてシェイヴァーを持っていかなければならない。