Arizona の州都 Phoenix へ向けて 622km 走る
Los Angeles を出発し、Arizona 州の州都である Phoenix へ向かった。
およそ 622km になる長旅である。
東京・岡山間の距離と大体同じである。
昼前に Los Angeles International Airport を出発して Phoenix へ向かった。
地図を見ても分かるのだが、道路の周りには何もない。
実際、遠く続く果ての見えない道路が目の前に広がっていた。
窓から道路の外を眺めると、何もないことがわかる。
(2日後さらに何もないところへ行くことになる。)
過ぎる景色は緩やかに変わる。
岩肌がむき出しの丘が続く一帯を通ることもある。
数え切れないほどの風車に出くわすこともあった。
アメリカは建国して 300 年も経たない比較的新しい国だ。
道路の周りを見るだけでも、ここには手付かずの大地が広がっている。
アリゾナに入ると、サボテンが生えている地帯に差し掛かる。
大きいものだと、2m ほどある。
野生で生えているのを見るのは、伊豆のシャボテン公園でサボテンを見るのとはまた訳が違うのだ。
異国情緒に浸りながらの運転は最高だ。
見える風景は素晴らしいが、何時間にもなるドライブとなるとやはり退屈することがある。
そしてこれだけ開放感があると、窓を全開にして音楽をガンガン鳴らしたい欲求が沸き起こる。
退屈をしのぐには、テンションを上げることがとても重要である。
アメリカで、
砂漠のど真ん中で、
こんなトラックが走っている横で、
例えばこんな曲を窓全開で大音量で流した。
いかにも Avicii が流れてきそうな砂漠で、ももクロのキャピキャピした音を流すのがとても爽快だった。
(もしこれが聞こえたドライバーがいたら、なんだコイツらと思うだろう。)
これを流したのは、すごくテンションをあげたくなった時だけだったが、普通に走る分には Avicii の曲がとてもぴったりな道路だった。
「The Nights」あたりを流して運転すると、アメリカ映画の主人公になった気分である。
(これを聞きながらこの旅行記を読むと、雰囲気が味わえるかもしれない)
おしゃべりや音楽を楽しんでいたら、やや日が傾きかけてきた。
そして曇ってきた。
このあたりに差し掛かると、何もなかった砂漠に家が少しずつ見え始める。
いよいよ Arizona の州都 Phoenix に差し掛かったのだ。
道路が若干混み始め、雨が少しちらついてきたが、なんとか予定していた Phoenix のモーテルに着いた。
この頃には、夕焼けがとても綺麗な時間になっていた。
モーテルの利用は人生初だったが、手続きは思ったよりもスムーズに進んだ。
モーテルは一般的に一部屋の料金になるようで、ダブルベッドの部屋がシングルと同じくらいの料金で、2人で借りることができた。
ここのモーテル(EZ 8 MOTEL)は一泊 $50 なので、一人 $25 ほどで泊まれた。
受付のおっちゃんはとても愛想がよく、「どこから来たの?」という質問に「日本からです」と答えると、「イチ、ニ、サン、シ」と言いながら空手っぽい手振りをしたり(どこで覚えたのだろう)、簡単な日本語の挨拶をしてくれた。
ここに来る日本人がとても少ないことも聞いて、ぼくら日本人がとても珍しいようだった。
受付のお姉さんは、「君たちが日本人だということがわかると、この辺の人はきっと驚くよ」と言っていた。
San Francisco や Los Angeles ではアジア人ばっかりでこのようなことがなかったので、お客様みたいな気分になれて少し嬉しかった。
モーテルのすぐ横にはマクドナルドがあった。
アメリカに来て、まだ一度もハンバーガーを食べていなかったので、ここで食べることにした。
ぼくはハンバーガーがとても好きで、マックでバイトを1年間していたこともあるのだが、海外の国に行った時は必ずその国のマクドナルドへ行くことにしている。
- メニューにどんな違いがあるのか。
- ハンバーガーやフライドポテトの味は変わらないのか。
- (ビックマック指数という言葉があるくらいに世界中にある)ビックマックの味は変わらないのか。
- レジのシステム・厨房の調理器具は日本とどう違うのか。
といった点をよく見るようにしている。
客視点で見るのはもちろん楽しいが、世界中にあるチェーン店を店員視点から見られるのもとてもおもしろい。
マックでバイトしている人には、是非オススメしたい。
この時はそんな計画を立てていなかったのだが、後に世界的に珍しいマクドナルドの店舗を 2 件訪れることになる。
この旅のサブテーマとして、この後の旅行記を楽しみされたい。
さて、マックの店舗内は日本とそれほど変わらないことが入ってすぐにわかる。
基本的なレジ・厨房のシステムは日本と変わらない。
制服も日本のものとかなり似ている。
奥で使っている箱や調理器具もさほど変わらない。
メニューも大体同じだ。
メニューを注文すると、ここでも「どこから来たの」と聞かれた。
受付のお兄さんは「ドウイタシマシテ」みたいな日本語を披露してくれた。
しかし、日本人に馴染みのないこの土地のひとがなぜこんなに日本語を覚えているのだろう…。
ハンバーガー(これはクオーターパウンダーで、日本にも同じメニューがあるが、こちらはレタスやトマトが挟まれていたりと少しの違いがある)とポテトは日本のよりも少し大きいくらいで、思っていたよりも大きいわけではなかった。
とりわけ目を引くのは、500ml のペットボトルほどもあろうコップの大きさと、セルフサービスのドリンクである。
たぶん自由に何度も注げるので、一番大きいサイズを選んでしまったのはミスだったと思った。
お店にはホームレスもいた。
身なりがとても一般的で最初は気づかなかった。
メガネをかけた優しい感じのどこにでもいるおじいさんである。
ポテトをねだっているようだったので、英会話の練習だと思って少ししゃべってみた。
割となまった英語であまり聞き取れなかったのだが、軍として日本に来たことがあること、そして家がないことを聞いた(このときホームレスだと知らず、この辺にお住まいなのですかと聞いてしまった)。
学生なんでお金持っていないよー、と伝えるとすごすごと店を出て行ったが、ホームレスと喋った体験そのものが新鮮であった。
次の日は、セドナへ行く。
グランドサークルに入る手前の町で、スピリチュアルスポットとして有名な場所だ。
当初行く計画を立てていなかった町なのだが、赤茶に染まる美しい町と、悠々とそびえ立つボルテックスに惚れ込む事になる。